福岡県飯塚市議会で採択された「原子力依存からの撤退を求める意見書」[戻る]

「原発なくす蔵」の共同世話人の一人である青柳行信さんは、週の平日、九電本店前でテントを設営し、丸6年たつ。その行動は日本全国に広く知られているため、今では、「九電本店前テント」宛で郵便物も届く。さらに、直接様々な文書や書籍などを届けてくださる方々も多くいる。そういう意味では、青柳さんとともにテントは、全国の脱原発の動向を知ることができる大切な場所となっている。
そのテントに、飯塚市議会で採択された意見書が残されていた。意見書の上には、請願が審議の後に採択された旨の通知が貼られ、日付は「平成29年3月14日」。私は思わず「何なんだろう?」と手にしてしまった。テントにあった文書は、コピーを重ねたためか不鮮明であったので、ネットで飯塚市議会議事録などを検索し、同じものがないかと調べてみた。その結果、手に入れたものが、添付の「請願」(資料1)と「意見書(案)」(資料2)であった。
市議会での経緯を説明すると、飯塚市では、昨年末の2016年12月5日に、「原子力依存からの撤退を求める意見書」の提出を求める請願が提出された(資料1)。そこには、小出裕章氏の言葉などを引用するとともに、「ただ蒸気をつくるだけのために後の世代の人々を犠牲にしてもいいのでしょうか」などの理由が述べられていた。12月5日付けの請願に添付された「意見書」は若干修正され、「ですます調」に改めるなどして12月22日に訂正の「意見書(案)」(資料2)が提出された。
ご存じのように、飯塚市では前市長が平日昼間に賭け麻雀をしていて引責辞任し、この2017年2月26日に市長選が行われた。このため、市議会定例会の開催は3月に入ってであった。
市議会定例会初日の3月9日に、まず「請願」が全会一致で採択された。そして、定例会最終日の3月24日に、「意見書」(資料2)そのものも全会一致で採択された。「意見書」では、原発から撤退した地震国のイタリアや、脱原発を閣議決定した台湾にも触れ、「脱原発社会を目指す方向へ進むことを希望します」などと述べられている。
「請願」「意見書」の採択は、ともに全会一致の画期的な決議であった。そして、添付の文書を是非お読みいただきたいのだが、論旨が明快でわかりやすい。こうした決議が、各地の地方議会で続々とあがれば、原発再稼働に対しても、心強い「民意」の一つになりそうである。
もう一つ、飯塚市は衆議院議員の選挙区でいえば、福岡8区にあたる。現在、福岡県内の小選挙区は自民党系の議員ばかりで占められているが、福岡8区は安倍内閣の副総理兼財務相の麻生太郎の選挙区で、飯塚市は麻生太郎のお膝元ともいえる市である。こうした保守基盤が強い地域であっても採択は可能なのだと、飯塚市議会の動きを、私たちは心強く受け止めたい。

◆参考資料 「請願」(資料1) 「意見書(案)」(資料2
(文責 片山純子) 2017年5月8日公開