東アジアの軍事的緊張が高まる最中に、玄海原発再稼働を佐賀県議会が容認[戻る]

この11日から13日にかけて、佐賀県で臨時県議会が開催された。2月から3月にかけて県内5カ所、長崎県5カ所、あわせて10カ所で開催された住民説明会では、述べられる意見のほとんどは再稼働に反対するものであったが、また、原発30キロ圏内に入る伊万里市、壱岐市、松浦市、平戸市の首長、松浦市と平戸市の市議会も再稼働反対を表明しているにも関わらず、佐賀県県議会では多数で再稼働容認が決議されてしまった。あとは、佐賀県知事の同意ばかりというスケジュールだ。
(注)詳細な動きは【STOP! 玄海原発再稼働】に掲載している年表を参照のこと。

ただ、今はどんな時期だったのだろう。
アメリカ大統領トランプが、シリア・アフガニスタンに爆弾を落とし、その力を誇示するかのように、原子力空母を朝鮮半島の海域に移動させていた。
北朝鮮では、若い金正恩が、やはりミサイルを飛ばすことで、国内外に力を誇示しようとしていた。
米朝ともに、危なっかしい「瀬戸際外交」を繰り広げ、ともに手の内が見えにくい、ちょっとしたことで軍事衝突が起きなければよいがと、心配はつきない時期である。
そんな最中に、佐賀県議会は原発再稼働にゴーサインを出した。
原発は、動かしていなくても使用済み核燃料を多く保管するなど危険である。しかし、稼働中の原発は、危険度が高まる。そして、玄海原発が、テロに襲われたり、爆弾が投下されたりしたときに、どの程度安全なものかは明らかになってはいない。
もっと、国内の「既定のスケジュール」でことを進めるのではなく、国内外の様々な状況をみて、政治家たるものは判断すべきなのではなかろうか。とくに、日本の保守政治家のなかには、中国・韓国・北朝鮮への非難の声は勇ましいが、危機の際に、いかに武力衝突を回避し外交的手腕でもって事を解決していくか、といった能力において、見劣りするものが目立つ。なぜ、冷静な対応を米朝に求めるような発言をしないのだろうか。佐賀県議会での議論でも、地理的に近いところで軍事的緊張が繰り広げられている、そんな時期に少し慎重にことを進めようではないか、といった声がなぜ上がらないのだろう。不思議でならない。
ちなみに、脳天気な我が安倍首相は、芸能人など多数を集めて、森友問題の渦中にいる夫人も参加させて、新宿御苑で「桜を見る会」を楽しんでいた。対外的な危機よりも、それによって自分の危機が吹っ飛んだことに歓声をあげているかのようだ。

(文責 片山純子) 2017年4月17日公開