福島県内外の「自主避難者」に対する住宅の無償提供の打ち切り問題について[戻る]

 福島県は、「自主避難者」に対する住宅の無償提供を、2017年3月末で打ち切る決定をしている。打ち切り対象となる県内外の「自主避難者」は、約1万2000世帯・約3万2000人にのぼるという。
 そもそも何故「自主避難者」という言葉が生まれたのか?
 福島第一原発事故が起こったためである。さらにいえば、避難を強制された地域が放射性物質による汚染に対して狭かったため、放射線管理区域に相当するような地域が福島県の各所に散在したためであろう。国が、当初より避難を強制する地域を広く設定し、そこに住む人たちに避難を命じ、その生活を補償・保障する体制をとってさえいれば、「自主避難」などすることなく、正当に避難できた人たちであろう。そういう意味では、国の施策の犠牲者となった人たちである。
 しかも、「自主避難」を余儀なくされたために、事故加害者である東京電力からの補償も少ない。その彼ら、彼女らが、ここで再び決断を迫られているのである。しかも、それは、住むところを変える、職場を変える、学校を変える等々、生活・人生を左右するような大きな決断である。
 川内・伊方と原発の再稼働があいつぐなか、決して他人事にしてはならない現実なのではなかろうか。

(参考資料)
東洋経済 ONLINE 2017年1月2日配信
毎日新聞 2017年1月6日朝刊
ひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)
(文責 片山純子)2017年1月16日公開